2016年の活動

2016年1月9日、日刊工業新聞社において午前中は総会を行い、午後から第260回関西品質工学研究会を実施。参加者は40名であった。

1.新春記念講演として原顧問より「閉じられた世界から開かれた世界へ」の講演があった。大村博士の「イベルメクチン」の発明に感動した。一方で偽装事件や原発問題等の問題が発生している。社会的損失の最小化を考えないといけない。従来のモグラたたき設計を「閉じられた世界」とすれば品質工学の機能性評価を活用したロバスト設計は「開かれた世界」ということができる。関西品質工学研究会には機能性評価の考え方と事例を集めて標準化することを期待したい。

2.外部講師講演としてアングルトライ手島氏より「地震予知と品質工学」の講演があった。

3.田口玄一論説集第2巻輪読として、第4編第1章「品種問題と品質問題」の紹介と議論を行った。

4.5つのグループに分かれてテーマ検討を行い、各グループ活発な議論が行われた。

5.場所を変え新年会で引き続き議論した。(ブラザー工業(株) 加藤 重己 記)

2016年2月5日(金)、第261回関西品質工学研究会を日刊工業新聞大阪支社にて開催した。 出席者37名。 (1)マツダ/武重氏より「品質工学テキストの紹介」と題し、制作中の資料の中からモジュール『サマリー』と『品質工学とは』の紹介と会員からのフィードバックの収集が行われた。 科学的思考と技術的思考との違い、品質管理や実験計画法と品質工学との違いなどにアプローチし、具体例を交えて説明することが示唆された。 また、独特な用語について、より受け入れられやすい表現を議論した。 

(2)太田会長より、「お年玉ツールの使い方」として、研究会の会員専用ホームページにあるツールの紹介と使い方の説明が行われた。 

(3)「田口玄一論説集第2巻」輪読として、「第4編第2章 品質とGNP」の紹介と議論を行った。 

(4)和歌山大学大学院/井上氏より、「タグチメソッドを用いた制御系の設計」と題し、修士論文の紹介とレビューが行われた。 

(5)和歌山大学/植村氏より、「MT法の変数選択について」と題し、卒業研究の紹介とレビューが行われた。 

(6)「グループ検討会」として、5つのグループに分かれてテーマ検討を行い、各グループ活発な議論が行われた。(グラスバレー(株) 荒木 正義 記)

 2016年3月5日(土)、第262回関西品質工学研究会を日刊工業新聞大阪支社にて開催した。 出席者31名。 

(1)エクセディ/薮田氏より「プロジェクション溶接条件の最適化」と題し、実験計画の紹介がなされた。機能の定義や評価方法等について提案がなされた。

(2)TM実践塾/芝野氏より「経営戦略としての品質工学 続報」と題し、T法(1)活用による企業の売上高や一人当たりの営業利益の予測を実施した結果の紹介がなされた。ロバスト経営の研究に関して入出力の関係やノイズに関する意見交換が行われた。

(3)川崎重工/冨永氏より「二輪車走行データへのT法の活用」と題し、解析結果の紹介がなされた。真値の定義方法や項目について議論がなされた。

(4)三菱電機/鐡見氏より「QEテキスト紹介」と題し、許容差設計のテキストの考え方の紹介がなされた。許容差設計の目的の確認や言葉の定義について議論がなされた。

(5)「田口玄一論説集の輪読」として「第4巻第2編第3章ソフトウェアにおける信号因子と機能性の評価」の紹介と議論を行った。

(6)「グループ検討会」として、5つのグループに分かれてテーマ検討を行い、各グループで活発な議論が行われた。                    コニカミノルタ(株) 西川 智晴 記)

2016年4月9日(土)、第263回関西品質工学研究会を池田市(大阪府)に場所を移し、移動研究会を開催した。午前はダイハツ工業㈱・池田工場にある「ヒューモビリィティワールド」を見学し、午後に池田市民文化会館で研究会を行った。出席者25名。

(1)三菱日立パワーシステムズ㈱/高濱 正幸氏から「百分率データの取り扱いについて」と題し、誤差因子のあるパラメータ設計で、百分率データを用いる際の課題提起があった。再現確認で、逆オメガ変換して百分率データに戻すと、推定と実測に差が出るという問題で、これに対して、「再現性はオメガ変換の値のままで行う。百分率に戻した時点で差が生じる」、「良品率90%以上なら、オメガ変換せずに百分率データの望小特性で計算できる」などの意見が出された。

(2)ゴールドラットコンサルティング/関 昭義氏より「北九州品質工学研究会でのマツダ㈱ 人見常務さまのプレゼンから」と題し、品質工学を適用したマツダの技術開発の考え方が紹介された。「波及効果の高い技術に集中する」、「CAEとパラメータ設計を組み合わせ、制御因子をたくさん簡単に変え、全体を見ながら技術開発を進める」、「ハードの共通化でなく、機能の共通化で開発効率を優先させる」など示唆に富む内容であった。

(3)三菱電機/鐵見 太郎氏より「QEテキスト紹介」と題し、「Ⅱ 品質工学とは」の章の内容紹介と確認があった。

(4)「グループ検討会」として、5つのグループに分かれてテーマ検討を行い、最後に各グループの討議内容を共有した。             (株)村田製作所 中野 清 (記)

2016年5月13日(金)、第264回関西品質工学研究会を日刊工業新聞大阪支社において、出席者28名で開催した。

1.テーマ検討1「たまご落下コンテストによる機能性評価の学習」(村田製作所 鈴木啓修):機能性評価の教育は技術の素性の良さを測る必要があることを教えるのが狙いであり、そこに気付かせる仕掛けを入れることが重要など、機能性評価の教育のあり方について議論がなされた。

2.テーマ検討2「なぜ多くの企業で品質工学の導入検討がうまくいかないのか」(ITEQ 江平敏治):目に見えない品質を良くする必要性に気づけないなどの原因や、10年続いている企業のやり方に学ぶなどの対応策について様々な意見交換がなされた。

3.テーマ検討3「近直交表の使用上の注意点」(シマノ 太田勝之):近直交表を使った実験の分析は、計算が複雑、分析の採用する項目数で結果が異なる場合があるなど問題も多く、今後様々な検討が必要であると結論付けられた。

4.話題提供「中部品質工学研究会の紹介」(ダイセル 大見健児):中部品質工学研究会の活動紹介がなされ、今後関西研究会とも交流を深めて行くことが確認された。

5.輪読「田口玄一論説集第一巻」における「第4章 設計品質の評価」およびグループ検討会:4Grに分かれ、論説集の内容や各自のテーマの進め方など活発に質疑がなされた。           マツダ(株) 武重 伸秀 記)

2016年6月4日(土)、第265回関西品質工学研究会を日刊工業新聞大阪支社において、出席者29名で開催した。

1.テーマ検討1「オンラインQEのEXCEL計算式の紹介」(パナソニック 山口新吾):オンラインQEは市場に不良を出すことを容認していると捉えられがちであり、不良ゼロを目指す現場では受け入れられ難いが、コストの全体像を見えるようにすることが大事である、などオンラインQEを現場に導入する方法について議論がなされた。

2.テーマ検討2「アブダクション思考による発想について」(北陽電機 嶋崎庸介):アブダクション思考の事例や品質工学との関係が議論され、パラメータ設計はアブダクション思考を用いた科学的探究そのものである、などの意見が出された。

3.テキスト検討(シマノ 太田勝之、マツダ 武重伸秀):作成中のパラメータ設計およびオンラインQEのテキスト紹介があった。

4.輪読およびグループ検討会:4Grに分かれ、「田口玄一論説集第一巻第5~7章」の内容や各自で取り組んでいるテーマの進め方などについて活発に議論がなされた。               マツダ(株) 武重 伸秀 記)

2016年7月1日(金)~2日(土)第266回関西品質工学研究会を『しあわせの村』(神戸市)にて合宿形式で開催した。出席者は31名(1日目)および22名(2日目)。

1.リコーテクノロジーズ/川西氏から研究発表(非公開)があった。

2.村田機械/荘所氏から「村田機械における新入社員へのQE研修の紹介」の事例紹介があった。評価方法の選択、および確認実験を行うことの大切さを伝えている。

3.招待事例として、ASI/田口氏より、「SBT, System Behavior Testing」、「FOA(First Order Analysis)およびタグチメソッドを用いた車体概念設計」の2つの話題提供があった。FOAに関しては、詳細設計に入る前に技術開発の方向性の正しさをラフに検証できること、品質工学と相性が良いことなどが示された。

4.パナソニック エコソリューションズ/米津氏より、「社内でのQE教育の演習題材の検討」の事例相談があった。どんな教材であれ、研修にチューニング実験を組み込めるか否かがポイントであるとの意見があった。

5.「田口玄一論説集」輪読として、「第1巻第7編 第1章~第7章」の紹介と議論を行った。

6.ユニチカ/阪倉氏から事例相談(非公開)があった。

7.シマノ/太田氏から「ソフトウェアのデバッグ」、「ベイズ統計とSN比」、「比率データの扱い」の3つの話題提供があった。極端な多水準因子がある場合の実際的なデバッグの手法などが紹介された。8.3つのグループに分かれ、それぞれで活発な議論が行われた。(荒木 正義 記)

2016年8月5日(金)、関西、滋賀、京都、中部の4研究会合同研究会を京都府中小企業センターにおいて出席者54名で開催した。

1.テーマ検討1「トルクセンサの不良低減および精度向上」(日東精工 寺井俊朗):機能性評価やパラメータ設計では、はっきりと差が出る誤差因子を与える必要があること、様々な誤差因子を採用した方が良いことなど、誤差因子の与え方について議論がなされた。

2.テーマ検討2「現像ノズルの液滴除去性能向上」(SCREENセミコンダクターソリューションズ 安江淳):液滴を除去することと安定性は分けて研究した方が良い、安定性の評価箇所は重要な信号であり、まずノイズに対して安定させた後、流速をチューニングすると良い、CAEでは傾向が合う精度を確保する必要があるなどの意見が出された。

3.テーマ検討3「CCDの歩留向上」(ダイセル 大見健児):MTシステムの項目診断を活用して製造不良の原因がうまく究明できた事例が紹介され、重回帰ではうまくいかないがT法でうまくできる可能性があるなどの意見が出された。

4.テーマ検討3「品質工学の教え方の検討~導入教育の場合」(三菱電機 鐡見太郎):品質工学の教育について議論がなされ、成果を出すことが重要であることを教える必要がある、現場で実際にやるテーマ活動をサポートすることが重要である、などの意見が出された。

5.グループ検討会:6Grに分かれ、各自のテーマの進め方や品質工学に関する質疑が活発に行われた。  マツダ(株) 武重 伸秀 記)

 2016年9月3日(土)、第268回関西品質工学研究会を日刊工業新聞大阪支社にて開催した。 出席者29名。 

①パナソニック/山口新吾氏より「オンライン品質工学の考え方を応用した製品検査のサンプリング間隔の試算方法について」と題し、検査設計の考え方を応用した抜き取り検査間隔の算出方法について紹介がなされた。

②シマノ/太田勝之会長より「エネルギー比型SN比の解説」と題し、最近入会された会員に対して田口玄一のSN比、前田誠氏が提案されているSN比と対比する形で解説が行われた。

③シマノ/井上徹夫氏より「T法によるスピニングリールの巻き心地の定量化」と題し、評価方法や解析方法の紹介がなされた。

④マツダ/武重伸秀氏より「比率データの扱い方について」、「マツダにおける品質工学教育について」と題し、「比率データの扱い方について」ではオメガ変換、対数変換の位置付けが紹介された。「マツダにおける品質工学教育について」ではこれまでの取組方針や考え方、歴史について紹介がなされた。

⑤「田口玄一論説集の輪読」として「第3巻3編1-3章 社長のコストを下げよ」の紹介と議論を行った。

⑥今年の品質工学研究発表大会で銀賞を受賞した「エンジン部品に関する知見抽出のためのバーチャル設計の応用」トヨタ自動車 の事例を参考にグループ検討を行った。        コニカミノルタ(株) 西川 智晴 記)

2016年10月6日(木)、関西、滋賀、京都、中部の4研究会合同で「品質工学シンポジウム2016inおおさか-田口伸「タグチメソッド入門」出版記念-」を開催した。参加者は一般も含め95名であった。

1招待事例「むき身カキの鮮度保持技術の開発」」(広島県立総合技術研究所/高辻英之):むき身カキの鮮度保持期間を延し、社会損失低減に成功した報告があった。

2事例発表「MTシステムへの1提案-APRT法の考え方と手順-」(ブラザー工業/出島和宏)「APRT法のメリットと適応例」(ITEQ International/井上清和):APRT法の考え方と実例検証による優位性の報告がなされた。

3出版記念講演「ロバストネスの最適化による開発期間の短縮とコスト低減」(A.S.I/田口伸):品質工学に馴染みの少ない人にも分かる様に書籍を引用して機能性評価とパラメータ設計の説明、米国での事例紹介がなされた。

4事例発表「エアーブロアの機能性評価」(村田製作所/日指英雄):テストピースを使用し評価期間を大幅に短縮した報告があった。

5事例発表「経営戦略としての品質工学」(京都府中小企業特別技術指導員・TM実践塾/芝野広志):経営の安定性を改善させることを目的にT法(1)を利用した研究報告がなされた。

6事例発表「SYKACTIVE開発への品質工学の適用」(マツダ/武重伸秀):品質工学の考え方で仕事をするという方針のもと業績回復に至った取組みが報告された。どの発表も活発な質疑が行われ、原和彦関西品質工学研究会顧問の講評をもって締めくくられた。

村田機械 河島 清孝 記)

2016年11月4日(金)、第270回関西品質工学研究会を株式会社エクセディにて開催した。 出席者30名。 1.株式会社エクセディの会社紹介の後、トルコン、クラッチ部品などの製造工場の見学を行った。

2.小松製作所/細井氏より「相関誤圧法について」と題し、誤圧法による新しい計算方法についてQES2016で発表した内容からさらに検討を加えた内容についての報告があった。

3.コニカミノルタ/西川氏より「都市の防犯戦略に対するT法の取り組み」と題し、T法を用いて犯罪の発生率に影響を与える項目を抽出できないか検討した結果についての報告があった。

4.マツダ/武重氏より「マツダにおける今後の購入品開発の考え方」と題し、マツダにおける技術開発の状況及び自動車メーカーとサプライヤーの共同開発の在り方についての報告があった。

5.エクセディ/薮田氏より「パラメータ設計によるDSP工法再構築」と題し、パラメータ設計を用いたスプリングの製造条件の最適化の試みについて報告があった。ブラザー工業(株) 加藤重己 記)

2016年12月3日(土)、第271回関西品質工学研究会を日刊工業新聞大阪支社にて開催した。 出席者23名。 

1.TM実践塾/芝野氏より「損失関数にSN比を適用する際の留意点」と題し、目標値からの差で計算する品質損失とSN比から計算する品質損失を扱う上での留意点について紹介がなされた。

2.村田機械/荘所氏より「マイクロ波加熱のその後」と題した報告があった。

3.東レエンジニアリング/稲垣氏より「直交表の交互作用についての考察」と題し、様々な直交表について列間の交互作用の大きさを調べた結果報告がなされた。

4.三菱電機/鶴田氏より「品質工学と私~23年の業歴を振返って」と題し、社内での品質工学の活用状況、普及活動や今後について紹介がなされた。

5.3つのグループに分かれて来年のワーキングループ活動の進め方などについて議論を行った。村田機械(株) 河島清孝 記)

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