7月13日に第31回研究会を実施した。

1)勉強会「OEF'96発表大会事例検討ゴ(アイテック,原):6月13,14日に開催された品質工学フォーラム

「第4回品質工学研究発表大会」での発表事例について解説が行われた。

2)「光沢研磨剤改善実験」(関西日本電気,西脇):気密端子のメッキ前処理工程の中に,金属面を腐食さ

せて鏡面に近い光沢が得られるまでに研磨する工程がある。

この研磨工程で用いられている研磨剤は寿命が短い上に公害性の高いものであった。

今回,従来と異なるタイプの研磨剤を導入することにしたため,研磨条件が制御因子,研磨液の使用回数とワーク間のばらつきを誤差因子,処理時間を信号因子として実験を行った結果が報告された。

この事例について,ワークの測定は反応系から取り出しての測定となるため,信号因子の各水準で測定するワークは別のワークを測定しているので対応がない。

そのため,ワークの初期値を測っておき,n分後に取り出した時のワークを測定して研磨量をデータとした方がよいとの指摘があった。

2)「低圧鋳造金型における湯口断面積の最適化」(ダイハツ工業,大野):鋳造中に巣ができ難くする鋳造方法である低圧鋳造法において,鋳込温度,ヘッド高さ等の鋳造条件のパラメータから適切な湯口断面積を求める理論式がある。この理論式を用いて鋳造条件を制御因子,鋳造条件のばらっきを誤差因子,湯口断面積を望目特性としたシュミレーションを実施した結果が報告された。

この事例について,機能性で評価していないという指摘があり,鋳造の機能とは何かについて議論が行われた。

3)「高照度照明器具の開発」(朝日ナショナル照明,川添):高照度で輝度にムラのない照明器具を開発

したい。そのため,照明器具の構造を制御因子,ランプの劣化を誤差因子として,照度,輝度の2種類の特性値で評価する実験の進め方について検討し,照度と輝度の両方を測定するのではなく,照明器具からの距離の数か所の測定点を選び,照度を測定することでよいのではないかとのアドバイスがあった。

 

8月2日に第32回研究会を実施した。

1)勉強会「熱転写リボンの開発および生産」(ユニオンケミカー,朝加):品質工学相談コーナーとして,熱転写インクリボンを開発・製造する上で品質工学を用いて何をどうすればよいか相談があった。

そこで,リボンの構造,生産工程,開発上の問題点,品質特性等ついて説明があり,品質工学を使った実験の進め方についてアドバイスが行われた。

2)CAEを活用したSMTチップ部品のはんだフィレット形状の解析」(オムロン,平野):本事例は,96年度品質工学フt一ラム大会に発表されたものであるが,多くの問題を含んでいるために再報告された。

その内容は,表面実装はんだ付け設計基準を作ることを目的として,はんだフィレットの形状と熱歪みストレスに対する接合寿命の関係をCAEを用いて解析したものである。

この事例について,均一に結合されていることをどうやって計測するか,実装技術に基本機能はあるか,よく言われているV-I特性による評価は万能かについて色々な議論が行われた。

3)「ガラスのダイレクトプレス成形技術の開発J(ミノルタ,徳永,芝野):電子機器の小型化の進展により従来より薄い光学ガラスレンズが要求されるようになり,ダイレクトプレスによる薄板ガラス成形技術の開発を目的として,金型内に注入したガラスが均一に延び,注入量に応じた厚みの成型品を作り出すことを理想機能として,厚みを特性値とした実験を行った結果が報告された。この事例について,ガラスが金型の端まで達しなかっ

たケースが多かったことにっいて議論が行われた。

 

4)「紙コプターを用いた演習にっいて」(松下電工,木村):社内のパラメータ設計研修コースとして行

われている紙コプターを用いた演習の内容が紹介され,もっとよいやり方がないかについて問いかけが

あった。この問いかけに対して,紙コプターを用いた演習について是非も含めて色々な議論が行われた。

(㈱日本軸受検査協会中井功記)

9月6日に田口先生を招聰し,第33回研究会を実施した。

1)「ガラスのダイレクトプレス成形技術の開発」(ミノルタ徳永);本事例は,8月度の研究会で報告されたものであるが,田口先生のアドバイスを頂くために再報告されたものである。その内容は,ダイレクトブレスによる薄板ガラス成形技術の開発を目的として,金型内に注入したガラスが均一に延び,注入量に応じた厚みの成型品を作り出すことを理想機能として,厚みを特性値として実験を行ったものである。

この事例で問題になったのは,ガラスが金型の端まで達しなかったケースが多く,このときの特性値を0として扱っていることであった。

この事例に対して,田口先生から「データ中に0が入っているが,もののないところを測定しても意味がない。また,0を抜いてSN比を計算してみることが必要であり,ガラスの厚みの均一性が大切である」とアドバイスがあり,その内容について議論が行われた。

2)「マハラノピスを使ったウエハーの合否判定」(シャープ朝田):シリコンウエハー上に出来たチップの品質特性(約50項目)を測定し,歩留まりの良いウエハー約200枚を使ってマハラノビスの基準空間を作った。その基準空間と歩留まりの悪いウエハーとのマハラノビスの距離を計算した。その結果,歩留まりのランクとマハラノビス距離とは,かなり相関がある結果が得られているが,相関の取れないデータもいくつか存在したことについて田口先生に質問された。

これについて田口先生から,「基準空間を作る時に使った正常と考えるウエハーの定義が大切で,基準空間の作り方によって結果が大きく変化する。また,品質特性もすべての特性を使うのではなく,もっと絞り込まなくてはならない。何を測定すればよいかも重要である」とアドバイスされ,その内容について議論が行われた。

3)「スクイズキャストについて」(ダイハツ工業清水):ホイル,ピストン等のアルミの鋳造には,重力鋳造で生産していたが,鋳造サイクルの短縮,熱処理の廃止,製品の歩留まり向上,内部に巣が出来にくいなどの効果が期待される低速高圧鋳造の一種であるスクイズキャストに変更したい。そのために,スクイズキャストを検討するに当たって,基本機能を①製品寸法と金型寸法(転写性),②比重の測定(材料の均一な充填),③強度の測定(応カーひずみ特性)と考えたが,今後どう進めていけばよいかについて田口先生に質問された。これについて,田口先生から,「実験では製品を使う必要はなく,成形しにくいテストピースを使って実験すべきである。要はよい製品を作ることではなく,良い鋳造条件を見つけることが目的である。比重は測定しても駄目なことが多い。実験でのノイズの取り方がポイントである。

薄いところや厚いところ,ゲートから近いところや遠いところの寸法が計測できるような形状にすべきである。また,強度なども同時に測定できるような工夫があれば,より良い実験結果が期待できる」とアドバイスされ,その内容について議論が行われた。

4)「GPS受信機の測位精度の向上」(古野電気中山):本事例は,4月度の研究会で報告されたものであるが,田口

先生のアドバイスを頂くために再報告されたものである。

その内容は,カーナビゲーションシステムに関する実験で,速度推定精度,速度推定頻度を向上させるため,信号処理部ソフトウェアのパラメータ最適値を決めることを目的として実験を行ったものである。

この事例について,田口先生から,「確認実験の結果からも明らかなように,位置の実験は再現性があって信用できるが,速度の実験は信用できない。

SN比を再度計算し直す必要がある。また,この実験は,調整性の改善を目的とした実験であり,機能性の改善ではない。

GPSの機能をきちんと定義して,再度実験してみるべきである」とアドバイスされ,その内容について

議論した。

5)「高照度照明器具の開発」(朝日ナショナル照明川添):本事例は,7月度の研究会で報告されたもの

であるが,田口先生のアドバイスを頂くために再報告されたものである。

その内容は,高照度(ランプの直下照度30001ux以上)で輝度ムラのない照明器具の開発を行うための実験計画である。この事例について,田口先生から,「直下照度でなく,いろいろな部分の照度を測定し,信号としてランプからの距離とインバータ出力を考えればよい。

また,輝度は測定しなくても,照度が均一になれば輝度も均一

になるはずである」とアドバイスされ.その内容について議論が行われた。

6)田口先生の講演:SN比の最適条件と確認実験の結果が再現しないことには理由がある。チューニング(レスポンスの研究)をバラツキ(SN比)の改善前に実施しても,再現性は得られない。SN比の最適条件を見つけてから,目標とする特性値にチューニングする品質工学による2段階設計について事例を交えて解説された。(日本軸受検査協会中井功記)

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